経験豊富なマエストロたちのもとみなぎる音楽大学8校の熱きサウンド

 首都圏の音楽大学と公共ホールが連携し、学生の交流・切磋琢磨を目的として毎年開催される音楽大学オーケストラ・フェスティバルも今年で15回目を迎える。東京芸術劇場が休館中のため、共催するミューザ川崎シンフォニーホールのほかにすみだトリフォニーホールが会場となるが、今年もまた8校の音楽大学が大作をひっさげ名マエストロたちのタクトで技を競う。

左より:時任康文 ©Yamaguchi/下野竜也 ©Naoya Yamaguchi/沼尻竜典/現田茂夫 ©K.Miura

 オープニングとなる11月23日(ミューザ川崎)で先陣を切るのは昭和音楽大学。時任康文の指揮するバルトークの「管弦楽のための協奏曲」では、曲名通り各パートが大活躍するはず。東京藝術大学は下野竜也の指揮で、三善晃の晩年の傑作「焉歌・波摘み」とベートーヴェン「レオノーレ」序曲第2番という現代曲と王道レパートリーの合わせ技。桐朋学園大学は同校OBでもある沼尻竜典の指揮でR.シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」。ヴィオラとチェロのソロにも注目だ。

 11月30日(ミューザ川崎)にも3校が登場。武蔵野音楽大学は現田茂夫の指揮でサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」、東京音楽大学は同校OBの広上淳一の指揮でプロコフィエフの交響曲第5番、国立音楽大学は高関健の指揮でレスピーギの交響詩「ローマの噴水」、「ローマの松」をとりあげる。重量級のシンフォニックな作品が並ぶプログラムは壮観で、各大学のカラーの違いもくっきりと出るのでは。

左より:広上淳一 ©Masaaki Tomitori /高関 健 ©K.Miura/大友直人 ©Rowland Kirishima/秋山和慶 ©堀田力丸

 最終日となる12月1日 (すみだトリフォニーホール)は、大友直人の指揮による東邦音楽大学のモーツァルト・交響曲第41番「ジュピター」の後に、洗足学園音楽大学が長老・秋山和慶のタクトのもとベートーヴェンの交響曲第9番で人類愛を歌い上げる。曲の組み合わせもさることながら、年の瀬にもふさわしいプログラムだ。

 各大学の演奏の前には共演校がファンファーレを演奏しエールを送る。また来年3月29日には各大学の選抜メンバーからなるフェスティバル・オーケストラがショスタコーヴィチの交響曲第4番(指揮:沼尻竜典)等を演奏する。未来の音楽界を担う若い情熱の発露に耳を傾けたい。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2024年11月号より)

第15回 音楽大学オーケストラ・フェスティバル 2024
2024.11/23(土・祝)、11/30(土) 各日15:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
12/1(日)15:00 すみだトリフォニーホール
問:ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200
https://www.kawasaki-sym-hall.jp