アラン・ギルバート(指揮) 東京都交響楽団

めくるめく色彩感と名手たちの妙技を堪能

左:アラン・ギルバート ©Rikimaru Hotta
右:池松 宏

 7月23日・24日の都響スペシャル&A定期は、世界的指揮者アラン・ギルバートが、色彩感とソロの妙味満載のプログラムを披露する。2018年4月から首席客演指揮者を務めるギルバートと都響の相性は抜群。ギルバートは自身の個性を存分に発揮し、都響はいつも以上にスケールの大きな音楽を聴かせてくれる。

 本プロの前半は生演奏が貴重な曲が並ぶ。まずリンドべルイの「EXPO」(2009)は、フィンランドの人気作曲家がギルバートのニューヨーク・フィル音楽監督就任を記念して書いた(最初の公演で披露された)演奏会用序曲。タイトルは「ギルバートの才能と魅力のデモンストレーションとなる作品」を意味しているというから力も入るし、輝かしくダイナミックな音楽は高機能の都響でいかにも映えそうだ。次はエストニアからスウェーデンに移ったトゥビンのコントラバス協奏曲。こちらもメロディアスかつ極彩色の作品で、今や同楽器の重要レパートリーとなっている。独奏は首席奏者の池松宏。ハイポジションの連続や超絶的なカデンツァなど高い技量が求められる本作だが、池松は22年に紀尾井ホール室内管の定期で快奏している。所属楽団でしかもギルバートが指揮する今回は、さらに意欲満々のパフォーマンスが期待される。

 後半のリムスキー=コルサコフ「シェヘラザード」は、色彩的で華麗なオーケストレーションの代表曲。ギルバートの語り口と雄大なスケール感、コンサートマスターをはじめとする各楽器のソロの妙技が、むろん聴きものとなる。これは全編が煌びやかで、オーケストラの醍醐味に溢れた公演だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2024年7月号より)

都響スペシャル(平日昼) 
2024.7/23(火)14:00 サントリーホール
【定期演奏会1000回記念シリーズ10】第1005回 定期演奏会Aシリーズ
2024.7/24(水)19:00 東京文化会館
問:都響ガイド0570-056-057 
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