鬼才健在! 卓越した技巧が冴えるショパン&リスト名曲集
待ち望んでいた音楽ファンにとって嬉しいニュースだ。2021年、怪我によりキャンセルとなってしまったケマル・ゲキチのリサイタルが、この6月ついに実現する。圧倒的な超絶技巧と熱量たっぷりの表現力により、聴き手の心を鷲掴みにするゲキチ。1962年クロアチア生まれの彼は、85年のショパン国際ピアノコンクールでファイナリストに残らなかったが、彼を支持した審査員たちが次々と辞退するという形でしっかりとその爪痕を残した。その後は多くの国々からの招聘を経て、ピアニストとしての成功を手に入れた。
多彩なレパートリーを持つゲキチだが、今回のプログラムは、ショパンの「小犬のワルツ」「雨だれ前奏曲」「英雄ポロネーズ」やリストの「愛の夢第3番」「ため息」「ハンガリー狂詩曲第2番」など、名曲中の名曲のオンパレードだ。鬼才ゲキチの手に掛かれば、名曲の新たな一面に出会えること必至。説得力あふれるゲキチの解釈により聴き慣れた作品群がどう響くのか、実に楽しみである。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2024年6月号より)
2024.6/5(水)18:30 日経ホール
問:日経公演事務局03-5227-4227
https://stage.exhn.jp