アフターワークでも気軽に楽しめる本格コンサート
夜の8時から1時間、気軽に聴ける低料金、女性ピアニストたちが「いま聴いて欲しい曲」を演奏。文京シビックホールの人気シリーズになりつつある『夜クラシック』は、首都圏のホールでも珍しい企画であり、登場するピアニストが個性を発揮してプログラムを組んでいる。その第3回に登場するのは菊池洋子、第4回は小川典子だ。
菊池は「念願がかなって初めてのコンサート披露」だと語るシューマンの「幻想小曲集op.12」、そして得意のモーツァルトからピアノ・ソナタ第14番を演奏する。8曲の小品から成るシューマンではファンタジーやイマジネーションを大切にし、モーツァルトではオペラをピアノ1台で上演するようなアプローチ(音色、ニュアンス、遠近感など)で楽しませてくれる。また、このシリーズでは、テーマとして誰もが1曲目にドビュッシーの「月の光」を演奏することになっているのだが、菊池のドビュッシーは珍しいかもしれない。
一方の小川は「小学生の時にアンドレ・ワッツのコンサートで聴いて感激した」というドビュッシーの「水の反映」をはじめ「沈める寺」ほかの名曲を。さらには武満徹の「雨の樹素描」や、「キラキラと輝いている一面だけではなく、異様で陰のある側面を紹介したい」というラヴェルの作品も加わり、得意のフランス音楽を軸としたプログラムだ。「似ているようで三者三様」だという音楽の描き分けが小川の真骨頂。
気軽に、でも本格派の『夜クラシック』に注目を。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年1月号から)
Vol.3 菊池洋子(ピアノ) 2015.1/23(金)20:00
Vol.4 小川典子(ピアノ) 2015.3/13(金)20:00
文京シビックホール
問 シビックチケット03-5803-1111
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