若き実力者のピアニズムを味わい尽くす二日間
今もっとも熱い注目を浴びる若手ピアニストといえば、亀井聖矢の名がまっさきに思い浮かぶ。早くから将来を嘱望され、2022年11月にはロン=ティボー国際音楽コンクールで第1位に輝いた。先行する人気にコンクール歴が追いついた感がある。
その亀井の協奏曲をたっぷりと味わえるのが、東京交響楽団による「原田慶太楼 × 亀井聖矢」。同楽団正指揮者である原田の指揮のもと、「コンチェルト・ナイト」と「コンチェルト・アフタヌーン」の2公演にわたって、亀井が3曲のピアノ協奏曲を演奏する。
東京芸術劇場で開催される「コンチェルト・ナイト」では、プロコフィエフの第3番とガーシュウィンのピアノ協奏曲 ヘ調他が演奏される。ひとつの公演で2曲の協奏曲を聴ける機会は貴重だ。モダニズムとリリシズムが一体となったプロコフィエフ作品と、ジャズのイディオムを取り入れたガーシュウィン作品。20世紀のほぼ同時期に書かれたロシアとアメリカのコンチェルトを聴き比べることができる。
横浜みなとみらいホールで開催される「コンチェルト・アフタヌーン」では、前述のプロコフィエフにショパンの第1番が組み合わされる。こちらはモダンとロマンのふたつのテイストを楽しめる曲目。
亀井聖矢と原田慶太楼の間にどんな化学反応が起きるのかも興味深いところ。きっとスリリングな演奏になるはず。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2024年1月号より)
コンチェルト・ナイト
2024.3/25(月)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
コンチェルト・アフタヌーン
2024.3/26(火)14:00 横浜みなとみらいホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511
https://tokyosymphony.jp