トップ・プレイヤーたちが魅せる音楽の悦び
あの「フィルハーモニクス」が今年もやってくる。ウィーン・フィルとベルリン・フィルのメンバーが中心となり、ジャンルを超えた音楽を、粋な編曲と演奏で楽しませる「フィルハーモニクス ウィーン=ベルリン」の7人。クラシックに留まらず、ポップス、民俗音楽にメンバーの作品もまじえ、「やりたい曲を楽しくやる」の精神で、彼らの経験と技巧を尽くして聴衆を楽しませてくれる。
12月13日の東京オペラシティでは、昼夜で2公演が開催される。各公演で違う曲目が予定されているが、この日は共通演目「カーニバル(謝肉祭)」がある。この曲には、〈サン=サーンス「動物の謝肉祭」に独自の解釈を加えたオリジナル組曲〉と注釈が付いていて、その内容はJ.ウィリアムズ『ジュラシック・パーク』よりテーマ、H.マンシーニ『ピンクパンサー』他とのこと。かの有名曲の単純な編曲だけではないどころか、なんとも妖しげなムードすら漂い、何が起きるのか期待がいや増す。さらに大きな注目となるのが、本作の朗読を、日本の名女優、中谷美紀が務めること。中谷とウィーン・フィルには言わずもがなの繋がりもあり、贅沢なステージに気心知れたすてきな朗読で華を添える。
昨年、中心的存在であるクラリネットのダニエル・オッテンザマーに話を聞き、フィルハーモニクスについて語るときのリラックスした表情と、「音楽の自由 Musikalische Freiheit」という言葉が強く印象に残っている。“自由な音楽”でその愉悦を伝える彼らのエナジー、存分に堪能したい。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2023年12月号より)
2023.12/13(水)13:30 19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
https://www.japanarts.co.jp
他公演
2023.12/12(火) 川商ホール(鹿児島市民文化ホール)(099-257-8111)
12/15(金) 大阪/フェニーチェ堺(072-223-1000)