【CD】バッハ―音のあはひ/崎川晶子

 崎川晶子はチェンバロで、バッハ音楽の奥行きを堪能させてくれる。「パルティータ第4番」の序曲の華やかな付点リズムの響きと、フーガの輝かしさと壮麗さの見事な弾き分けから惹き込まれる。ゆったりとしたアルマンドはとても美しく歌われる。ジーグではフーガの声部書法が克明に描かれる。二重フーガの凝った展開もあり、ウキウキと心弾む。「フランス風序曲」の冒頭のフーガは、協奏曲のようにトゥッティとソロが交替するようで面白い。中間の舞曲楽章で、舞曲の性格がはっきりした主部と、繊細で美しい中間部が鮮やかに対比づけられ、聴き応えがある。バッハの才能に改めて感服。
文:横原千史
(ぶらあぼ2023年11月号より)

【information】
CD『バッハ―音のあはひ/崎川晶子』

J.S.バッハ:パルティータ第4番、ラウテンヴェルク組曲、フランス風序曲

崎川晶子(チェンバロ)

コジマ録音
ALCD-1219 ¥3300(税込)