10代の若き才能と名匠が贈る古典派の愉悦
都内のさまざまなホールで行われている「フレッシュ名曲コンサート」。12月3日、調布市グリーンホールでの公演は、鈴木秀美と新日本フィルハーモニー交響楽団の共演によるオール・モーツァルト・プログラムである。
新進気鋭の若手音楽家を支援する同コンサートのコンセプトから、中野りなをソリストに迎える。中野と言えば昨年夏の仙台国際音楽コンクールを最年少の17歳で制したことでも記憶に新しい。世界の古楽界を牽引し続けるチェロの第一人者でありながら、自らが創設したオーケストラ・リベラ・クラシカをはじめ幅広く指揮も行う鈴木が、新日本フィルハーモニー管弦楽団を相手にどのようなモーツァルトを披露するのかが、まず注目であろう。
ザルツブルク時代最後の長調の交響曲と晩年の短調の交響曲という組み合わせも興味深い。さらにソリストの中野が選んだのは「ヴァイオリン協奏曲第1番」。モーツァルトの他のヴァイオリン協奏曲に比べて演奏される機会は少ないが、作曲家最初期の協奏曲であり、全楽章がソナタ形式で書かれているなどユニークかつ豊かな楽想を持つ同作品には、文字通りフレッシュな演奏を期待したい。
文:大津聡
【Information】
フレッシュ名曲コンサート 鈴木秀美の華麗なるモーツァルト
2023.12/3(日)14:00 調布市グリーンホール
鈴木秀美(指揮)
中野りな(ヴァイオリン)
新日本フィルハーモニー交響楽団
W.A.モーツァルト
♪交響曲第34番ハ長調 K.338
♪ヴァイオリン協奏曲第1番 変ロ長調 K.207
♪交響曲第40番ト短調 K.550
主催:公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団、公益財団法人東京都歴史文化財団 東京文化会館
協力:東京オーケストラ事業協同組合
問:チケットCHOFU 042-481-7222