53年ぶりのヴェルディ作品上演で周年を彩る
今年、開場60周年を迎えている日生劇場のNISSAY OPERA 2023で、ヴェルディ《マクベス》が新制作される。幅広いジャンルのオペラを上演してきた日生劇場だが、ヴェルディを取り上げるのは1970年のベルリン・ドイツ・オペラ《ファルスタッフ》以来で53年ぶり! とのこと。同劇場芸術参与の粟國淳が演出し、ベテランの沼尻竜典が指揮する読売日本交響楽団がピットに入る。
シェイクスピア四大悲劇の名作が、ヴェルディの圧倒的な音楽で描き出される、演劇的にも見どころが多いオペラ《マクベス》。粟國は「権力を手にした人間の弱さというテーマは、今日にも通じる普遍的なもの」と語る。これまでも粟國が演出する舞台をヴィヴィッドな色彩感覚と造形への鋭いセンスで形にしてきたアレッサンドロ・チャンマルーギが美術・衣裳を担当し、ヴェルディの世界観を描き出すのも注目だ。
《マクベス》は、魔女たちがマクベスに不吉な予言をする場面、バーナムの森が動く場面など、超自然的な現象を含むダイナミックな脚本を持つ。今回は振付師として幅広い活躍をし、蜷川幸雄やジョン・ケアードなどともシェイクスピア作品に取り組んできた広崎うらんによるコンテンポラリー・ダンスが加わるので表現の幅も広がるはずだ。
歌手は全役をオーディションによって選出。マクベス役の今井俊輔と大沼徹、マクベス夫人の田崎尚美と岡田昌子をはじめとする、二つの組どちらも充実のキャストが集結した。公演への期待が膨らむ。
文:井内美香
(ぶらあぼ2023年11月号より)
2023.11/11(土)、11/12(日)各日14:00 日生劇場
問:日生劇場03-3503-3111
https://opera.nissaytheatre.or.jp
※配役などの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。