10月5日からワルシャワで行われていた第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクールは、2日間にわたるファイナルの審査が終了。現地時間10月14日深夜(日本時間15日朝)に最終結果が発表された。優勝はカナダのエリック・グオ。第2位には、地元ポーランドのピオトル・パヴラックが入賞した。
◎最終結果(カッコ内はファイナルで演奏したピアノ)
第1位・マズルカ賞 Eric Guo, Canada [Pleyel, 1842]
第2位 Piotr Pawlak, Poland [Erard, 1838]
第3位 Angie Zhang, USA [Pleyel, 1842] Yonghuan Zhong, China [Erard, 1838]
ファイナルは、ヴァーツラフ・ルクスが指揮する{oh!} オルキェストラ・ヒストリチナとの共演で行われたが、6名全員が協奏曲第1番を選択するという異例の審査となった。ファイナリストたちの楽器選択は、予選ラウンドに続き人気を集めた1842年製プレイエルと、1838年製エラールがそれぞれ3台ずつ。
優勝したカナダのエリック・グオは、2002年トロント生まれの21歳。トロント王立音楽院グレン・グールド・スクールでデイヴィッド・ルイに師事している。これまでにロイヤル・フィル、ミネソタ響、オンタリオ・フィル等と共演しており、イギリスのヘイスティングス協奏曲コンクールや北米の国際コンクール等で入賞歴がある。フォルテピアノの演奏経験は少ないが、今大会では1842年製のプレイエルを中心に選択(第1ステージでは1835年製グラーフも演奏)。繊細なタッチで楽器への順応力の高さをみせた。
優勝者には3ヶ月にわたるコンサートツアーが予定されており、日本でも1/25 アクトシティ浜松、1/26 兵庫県立ゲイツ術文化センター、1/30 東京オペラシティ コンサートホールでの演奏会が予定されており、東京公演ではバッハ・コレギウム・ジャパンとの共演も予定されている。
全体的な傾向としては、前回に続き、歴史的鍵盤楽器の演奏経験が浅く、必ずしもショパン時代の演奏習慣に精通しているとは言えない出場者が散見されたことは否めない。審査員の人選も含め、伝統あるショパン国際ピアノコンクールとの差別化という点で、多くの課題を残したように感じられた。日本では、世界的に見ても、優れたフォルテピアノ製作・修復家が多く、フォルテピアノへの関心が近年とりわけ高まりをみせている。5年後の第3回に向けて、若いピアニストたちがさらに経験を積む環境が整えられていくことに期待したい。
◎第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝者コンサート
2024.1/25(木) アクトシティ浜松(中)
1/26(金)19:00 兵庫県立芸術文化センター
https://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=5033213331&sid=0000000001
1/30(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2059/
International Chopin Competition on Period Instruments
https://iccpi.pl/en/