ドイツで要職を担うマエストロが初登場!
神奈川フィルの9月の定期演奏会には、ドイツ出身のゲオルク・フリッチュが登場する。マイセン生まれの彼は、チェリストとしてキャリアをスタートし、指揮者に転向。キール歌劇場やチロル州立劇場のシェフを歴任し、現在はカールスルーエ・バーデン州立劇場の音楽総監督を務め、ミュンヘン音楽大学指揮科教授として後進の指導にもあたっている。まさにドイツ音楽界を担う中堅指揮者であるが、日本のオーケストラを指揮するのは今回が初めてという。
プログラムがとても凝っている。今年がラフマニノフの生誕150年であることは音楽ファンの間でかなり浸透しているが、ドイツの作曲家、マックス・レーガーも生誕150年にあたるということはあまり知られていない。1911年に初演されたレーガーの「喜劇的序曲」はモダン・テイストの楽しい管弦楽曲。また、ラフマニノフも、よく演奏される第2番や第3番ではなく、1927年に作曲者自身のピアノ独奏、ストコフスキー&フィラデルフィア管によって初演された第4番が、珍しいレパートリーにも積極的に取り組む阪田知樹を招いて演奏されるのが楽しみである。ラフマニノフを得意とする阪田が第4番の魅力を明らかにしてくれることだろう。そして後半にはブラームスの交響曲第2番が取り上げられる。ドレスデン・シュターツカペレ、ドレスデン・フィル、ベルリン・ドイツ響などにも客演するフリッチュがドイツ音楽の醍醐味を聴かせてくれるに違いない。
文:山田治生
(ぶらあぼ2023年8月号より)
みなとみらいシリーズ定期演奏会 第388回
2023.9/2(土)14:00 横浜みなとみらいホール
問:神奈川フィル・チケットサービス045-226-5107
https://www.kanaphil.or.jp