ロシア音楽のスペシャリストふたりがソロとデュオで作曲家に迫る
生誕150年、没後80年というアニヴァーサリー・イヤーを迎えたセルゲイ・ラフマニノフ。今年は多くのコンサートで彼の作品が演奏されるが、中でも注目すべき公演は、上原彩子と松田華音によるオール・ラフマニノフ・プログラムだ。共に幼少期からモスクワ音楽院の名教授に指導を受け、“ロシアン・ピアニズムの継承者”として強い存在感を放つふたり。
ソロでは松田が練習曲集や「楽興の時」といった超絶技巧作品を演奏し、上原が前奏曲集からの抜粋で多彩な音楽性を見せてくれる。デュオでは2台ピアノ作品の傑作「2台のピアノのための組曲第2番」、ラフマニノフ最後の作品であり、自身が“最高傑作”と呼んだ「交響的舞曲」が並ぶ。高い技術とスケールの大きな音楽づくりを聴かせてくれることだろう。ロシアの音楽をレパートリーの中心としつつ、まったく異なる個性を放つふたりの独奏をそれぞれ楽しめるだけでなく、共演も聴ける一夜は、特別な体験となるはずだ。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2023年5月号より)
2023.6/7(水)19:00 サントリーホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
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