1990年代、ロックを思わせる鮮烈さで衝撃を与えたイル・ジャルディーノ・アルモニコのヴィヴァルディ「四季」。そのソリストを務めた鬼才オノフリが、手兵イマジナリウム・アンサンブルと臨んだ「四季」の再録音は、生成りの布のように素朴な質感ながら、繊細かつ緻密、随所に創意があふれている。1725年にアムステルダムのル・セーヌから出版された楽譜に立ち返り、細かな演奏指示の違いも再現。通奏低音も「秋」のみチェンバロ、他はオルガンを使用するなど、サウンド創りも斬新だ。“自然”を題材とした、ルネサンスとバロックの佳品も併録。各曲が、互いに共鳴するかのよう。
文:寺西肇
(ぶらあぼ2022年7月号より)
【information】
CD『INTO NATURE 自然の中へ/エンリコ・オノフリ&イマジナリウム・アンサンブル』
ジャヌカン:4声のためのシャンソン「鳥の歌」/ウッチェッリーニ:2つのヴァイオリンと通奏低音のためのアリア第9番「異種混淆:雄鶏とカッコウによる麗しき奏楽」/パシーノ:2つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ第11番「様々な野蛮動物の鳴き声を模倣して」/ヴィヴァルディ:和声と創意の試み op.8より「四季」 他
エンリコ・オノフリ(指揮/バロック・ヴァイオリン)
イマジナリウム・アンサンブル
Anchor Records
UZCL-2226 ¥3000(税込)