“21世紀のディーヴァ”、待望の初来日!
ソプラノ、ソニア・ヨンチェヴァの噂は、10年前から、さざ波のようにひたひたと押し寄せてきた。まずはブルガリアの通訳さんから。
「センセ、ヨンチェヴァって知ってます?」「いまオペラ雑誌でどんどん名前が出てますね」「この間ソフィアでコンサートをやってすごい話題になりました!」
続いては、ロンドン勤務の友人より。
「《ノルマ》ってオペラで急遽代役に立った人が成功して、なんでもブルガリア人で…」「それ、ヨンチェヴァ!」
それから、イタリア在住のジャーナリストさん。
「スカラ座で《イル・ピラータ(海賊)》というオペラを久々に上演するそうです。主演がヨンチェヴァといって…」「なるほど。その演目なら『マリア・カラスの再来』と呼ばれてもおかしくないですね」
大歌手を輩出するブルガリアに生まれ、フランスなど各国で舞台経験を積み、まずはバロックもので認められたヨンチェヴァ。コロラトゥーラの技を保ちつつ、近代イタリアの烈しいオペラも得意とする彼女、その一番の美質は「集中力」である。女優の吉田羊のように神秘性と親しみやすさを併せ持ち、込み入った音型も剛球のフレーズも全力で歌う彼女は、まさしく「21世紀のディーヴァ」の座に登りつつある存在なのだ。
7月に初来日を果たすヨンチェヴァ。オーケストラ(ナイデン・トドロフ指揮東京シティ・フィル)とともに、《ノルマ》の〈清らかな女神〉や《運命の力》《トスカ》《蝶々夫人》などから名アリアを披露する。歌姫の「絶頂期」はいま! お聴き逃しなきように。
文:岸純信(オペラ研究家)
(ぶらあぼ2022年6月号より)
※プログラムに一部変更が生じました。詳細は下記にてご確認ください。(5/31主催者発表)
【変更前】
ヴェルディ
歌劇「ドン・カルロス」 “世の虚しさを知る神よ”
↓
【変更後】
ヴェルディ
歌劇「イル・トロヴァトーレ」”穏やかな夜~この恋を語るすべもなく”
2022.7/2(土)15:00 東京文化会館
問:NBSチケットセンター03-3791-8888
https://www.nbs.or.jp