ミハイル・プレトニョフ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団

鬼才がロシアのサウンドを携えて再来日!

ミハイル・プレトニョフ (c)寺司正彦

 東京フィル6月の定期演奏会は、新型コロナの影響で2年以上来日が叶わず、今年3月のスメタナ「わが祖国」全曲で久々の再会を果たした特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフが登場して、2020年に企画して実現できなかった曲目を含むこだわりのロシア・バレエ音楽プログラムを披露する。

 まずは、マエストロとも交流があり、今年90歳を迎えるロディオン・シチェドリンの「カルメン組曲」(1967)。ビゼーの歌劇《カルメン》をシチェドリンが妻である20世紀ロシア・バレエの名花マイヤ・プリセツカヤのために編曲。〈ハバネラ〉〈闘牛士の歌〉〈花の歌〉等々の名旋律を散りばめて(「アルルの女」の〈ファランドール〉も加え)再構成、13曲から成る組曲に仕上げた。弦楽合奏と打楽器群という特殊な楽器編成も要注目。多彩な打楽器が実に効果的で表情豊か、リズムが強調された編曲で聴きごたえも十分。

 後半は、チャイコフスキーのバレエ音楽「白鳥の湖」がプレトニョフ自ら抜粋構成した特別版で演奏される。全4幕のバレエから構成された6曲から成る組曲。とはいえ、既存の組曲や抜粋とは異なり、超一流のピアニストで作曲家(バレエ「眠りの森の美女」のピアノ編曲版は絶品!)でもあるプレトニョフの手にかかると、繊細にして華麗な世界が広がる。まさにそれは「音の魔術師」。チャイコフスキー作品に寄せる愛情と情熱をもちながら冷静で引き締まった誇り高い演奏を聴かせてくれるだろう。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2022年6月号より)

第970回 サントリー定期シリーズ
2022.6/8(水)19:00 サントリーホール
第147回 東京オペラシティ定期シリーズ
6/9(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
第971回 オーチャード定期演奏会
6/12(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール
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