話題の人気アーティスト、国内外の精鋭やレジェンドが集結
浜松市の文化拠点であるアクトシティ浜松。世界的名手から国内の俊英まで、目配りのきいたアーティスト招聘を継続しており、2022年度の前半(4〜9月)にも注目すべき主催公演が連続する。
まず注目したいのは、「世界の名演奏家たち」が並ぶ看板シリーズのひとつ、「アクト・プレミアム・シリーズ 2022」。7月8日はヴァイオリン界のトップを走り続けるワディム・レーピンが登場。円熟期に入った彼の奏でるフランクの名ソナタを聴けるのは嬉しい。8月31日はピアノの河村尚子。近年の充実ぶりは目ざましく、深い表現と訴求力は間違いなく世界基準の領域。シューベルト晩年のソナタ第21番ほか、名作の深淵を体験させてくれるだろう。9月28日には木管五重奏の代表的存在、アンサンブル・ウィーン゠ベルリンが出演。二大音楽都市の名手たちが集っての楽興の喜び、たっぷり味わいたい。
期待の若手による「アクト・ニューアーティスト・シリーズ 2022」も、多くの名演奏家を輩出してきた重要なシリーズである。5月8日は昨年の草加−日本国際ハープコンクール第3位など、内外の多くのコンクールで入賞を果たしたハーピスト、景晨陽(ジン・チェンヤン)。カプレ「2つの嬉遊曲」などハープ名曲集が楽しめる。7月10日はソプラノの老川鈴唄(おいかわ・りんた)。昨年、日本演奏家コンクールで優勝し、今後の活躍が期待される俊才が、オッフェンバック《ホフマン物語》より〈生垣に小鳥たちが〉ほかで旬の美声を聴かせる。9月25日のピアノの千葉遥一郎は、昨年モントリオール国際音楽コンクール第2位入賞の快挙を成し遂げ、注目を集めている。プロコフィエフのソナタ第6番といった難曲が聴けるのは楽しみだ。
シリーズ公演のほか、規模の大きい公演も予定されている。「フジコ・ヘミング スペシャルコンサート」(4/25)では、孤高のピアニストの無二の境地が、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番とリスト「ラ・カンパネラ」で味わえる。マリオ・コシックの指揮と東京フィルによるブラームス交響曲第4番も期待大。
「仲道郁代 ピアノ・リサイタル」(5/21)は、仲道とベートーヴェンの記念年が重なる2027年に向けた「The Road to 2027 プロジェクト in 浜松」の第5弾となる。「知の泉」をテーマにベートーヴェン「テンペスト」、リスト「ダンテを読んで」、ムソルグスキー「展覧会の絵」など、仲道の円熟の演奏で名曲の世界に浸れる。
松山バレエ団『ロミオとジュリエット』(5/28)は、昨年舞踊生活70周年を迎えた森下洋子をはじめ、同バレエ団のスターたちが登場する「スペシャルバージョン」となる。
「佐渡裕(指揮)& 反田恭平(ピアノ) 新日本フィルハーモニー交響楽団 50周年記念演奏会」(5/25、完売)は殊に大きな話題になりそう。楽団のアニヴァーサリー記念に、来年から音楽監督を務める佐渡と、昨年のショパン・コンクール第2位入賞で耳目を集めた反田が共演。ベートーヴェンの「皇帝」と第7交響曲を聴かせる。1月の東京での彼らの共演はたいへんな話題を呼んだ。浜松でも旋風を巻き起こすはずだ。
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年4月号より)
※7/8(金)の「ワディム・レーピン(ヴァイオリン)」公演は、ワディム・レーピン氏の来日がかなわないため、公演中止となりました。(4/28主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
問:浜松市文化振興財団053-451-1114
https://www.hcf.or.jp
※各公演、発売日の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。