3月18日から4月19日にかけて開催される「東京・春・音楽祭2022」の記者会見が、開幕当日の18日正午に東京文化会館にて行われた。登壇者は同音楽祭実行委員長の鈴木幸一、事務局長の芦田尚子の2名。
まず、鈴木が2022年の音楽祭について「2020年以降コロナ禍の影響を受けながらも何とか続けてくることができた。18回目となる今年は、いくつかキャンセルとなった公演があるものの、ワーグナーやプッチーニの大規模な作品の上演も含め、“音楽祭”らしい開催が実現し、将来に向かって新しい一歩を踏み出せるのではないか」と述べた。続いて芦田が開催に向けての準備について、「渡航制限の都合で4公演がキャンセルとなったが、現状では海外勢も含め約70公演の有料公演を予定通りに開催する。ウクライナ情勢のためにフライトにも影響が出ているが、日々調整を続けながら開催の実現を目指している」と語り、音楽祭の恒例シリーズ「ミュージアム・コンサート」については、「昨年までは入場制限などがあったが、通常運営に戻りつつある上野の美術館・博物館にて、有観客のコンサートを実施できる予定」だ。なお、駅や商業施設など街角を舞台とした無料公演のシリーズ「桜の街の音楽会」は、感染症対策で密を避けるため、配信などかたちを変えた開催方法を模索中とのこと。
また、同音楽祭が取り組んできた有料ライブ・ストリーミング配信については、今年も無料公演など一部を除く約60公演を配信予定。配信チケット購入専用アプリもリリースされた。配信について芦田は、「収録方法を昨年と変更することでコストを下げ、画面の拡大縮小などの機能を追加するなど、視聴者がより手軽に楽しめるかたちを試していきたい」と説明した。
開催に向けて、《ローエングリン》《トゥーランドット》、児童合唱の入る「ベンジャミン・ブリテンの世界 IV」など、大規模な公演では、舞台上のディスタンスや人数調整をしながら作品を作り上げており、3月時点では、リハーサルに参加する出演者やスタッフ全員が毎回抗原検査を受けるなど、徹底した感染症対策を続けてきたという。アーティストも検査のために早めに会場に集まるなど、関係者全員が一丸となって開催実現を目指している様子が伝わってきた。
目玉企画のリッカルド・ムーティの「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」《仮面舞踏会》は、アカデミーの受講生も聴講者もみんなが揃って万全の状態で開催できることを目指して、2022年は開催を見送ることとなった。しかしムーティは今年も来日して、3月18日の開幕公演で昨年好評を博した東京春祭オーケストラと再共演を果たす。同公演は19日にすみだトリフォニーホールでも開催されるほか、ライブ配信も実施。日本最大級の音楽祭がついに開幕する。
東京・春・音楽祭 2022
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