CDでも恒例となったシリーズの本年版。2度目の登場のネルソンスが、「スメタナ生誕200年」「ロマン派の名作」(実質的にはオペラの楽曲と20世紀ロシアの舞曲)をテーマに、快調な演奏を繰り広げている。ウィーン・フィルの温かみと潤いのある音はもとより、多く含まれた舞曲のリズムが胸を弾ませてくれること間違いなし。ワーグナーの影響を受けた女性作曲家オルメスの「夜と愛」も、レアな作品ながら美しく耳を慰撫する。さらに特筆されるのがノルウェーのソプラノ、ダヴィドセン。その強靭かつまろやかな声と雄弁な歌い回しは大いなる聴きものだ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2024年9月号より)
【information】
CD『ウィーン・フィル・シェーンブルン・サマーナイト・コンサート2024/アンドリス・ネルソンス&ウィーン・フィル』
ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》より〈ワルキューレの騎行〉/スメタナ:歌劇《売られた花嫁》より〈道化のダンス〉/オルメス:間奏曲「夜と愛」/ハチャトゥリアン:バレエ音楽「ガイーヌ」より〈剣の舞〉 他
アンドリス・ネルソンス(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
リーゼ・ダヴィドセン(ソプラノ)
収録:2024年6月、ウィーン(ライブ)
ソニーミュージック
SICC 2354 ¥2860(税込)