まさに本場ドイツの王道プログラム
ベルリン交響楽団が2002年の初来日以来7度目の日本ツアーを行なう。このベルリン交響楽団は、1966年に当時の西ベルリンで創設されたオーケストラ。混同しやすいが、東ベルリンに存在したベルリン交響楽団(現在のベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団)とは別の団体だ。12年の間に7回の来日公演を開催しているのだから、すでに日本の多くの聴衆に親しまれているといえるだろう。
指揮は97年より首席指揮者を務めるリオール・シャンバダール。テル・アヴィヴ出身のベテランである。7月4日の東京公演では、ソリストに及川浩治を迎えて、オール・ベートーヴェン・プログラムが組まれた。「エグモント」序曲、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、そして交響曲第5番「運命」という、まさに名曲中の名曲が並ぶ。序曲、協奏曲、交響曲というプログラム構成もオーケストラ・コンサートの王道をゆくもの。つまり、本場ドイツのオーケストラで、きわめてオーソドックスなプログラムを聴けるというのが、この公演の魅力となる。また、このプログラムならクラシックになじみの薄い友人や家族を誘いやすい。多くの人が安心して楽しめる公演となりそうだ。
「皇帝」でソロを弾く及川浩治は「皇帝は小さい頃からの憧れの曲。マエストロとオーケストラの胸を借りて、ベートーヴェンの真髄を表現したい」と語っている。精彩に富んだ名演を期待したい。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年7月号から)
7/4(金)19:00 サントリーホール
問:チケットスペース03-3234-9999
※ベルリン交響楽団の他公演情報については下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.ints.co.jp/berlin/schedule