24歳になったニュウニュウがコロナ禍を経てリリースしたのは、『フェイト＆ホープ』と題したアルバム。ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」のリスト編曲版は、卓越した技術と恵まれた体格から繰り出される粒立ちの良い音で、ピアノだからこそ表現できる楽曲の魅力を細部まで際立たせる。ピアノ・ソナタ「悲愴」の力強い音から、「月光」の暗く朧げな音への切り替えは大胆で、それぞれにまったく別の世界を創る。明るい色彩にあふれた自作の「Hope」までの一連の作品から、現代の人々の思いに寄り添い、勇気づけたいというはっきりとした意志が伝わってくる。
文：高坂はる香
（ぶらあぼ2022年1月号より）
【information】
CD『ベートーヴェン：フェイト＆ホープ／ニュウニュウ』
ベートーヴェン：交響曲第5番「運命」（リスト編/ピアノ・ソロ版）、ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」・第14番「月光」／ニュウニュウ（張勝量）：即興曲第1番「Hope」（希望）
ニュウニュウ（ピアノ）
ユニバーサル クラシックス
UCCD-1485 ￥3080（税込）