「ハイドンマラソン」全ライブ録音第13弾。飯森範親はモダン・オケにおけるピリオド・アプローチで、通奏低音にチェンバロを加えて、日本センチュリー響から透明で清新な響きを引き出している。交響曲第94番「驚愕」は、冒頭から生き生きとして実に爽やかだ。展開部も充実してスピード感がある。緩徐楽章の聴き手を驚かすハイドン一流のユーモアも効果的であり、変奏も楽しげ。軽やかでメリハリのあるメヌエットも、華やかなトゥッティのフィナーレもとてもいい。第64番両端楽章の豊かな楽想の飯森の描き方が巧い。第1番は若きハイドンの才気が伝わって快い。全集の今後が楽しみだ。
文:横原千史
(ぶらあぼ2022年1月号より)
【information】
SACD『ハイドン:交響曲集 Vol.13/飯森範親&日本センチュリー響』
ハイドン:交響曲第94番「驚愕」・第1番・第64番「時の移ろい」
飯森範親(指揮)
日本センチュリー交響楽団
収録:2019年1月、いずみホール(ライブ) 他
オクタヴィア・レコード
OVCL-00763 ¥3520(税込)