小林研一郎によるベートーヴェン交響曲全曲指揮 、最後の挑戦

 日本を代表する指揮者である小林研一郎が長年取り組んできた大晦日のコンサート「ベートーヴェンは凄い! 全交響曲連続演奏会」は、ベートーヴェンの交響曲全9曲を一日で演奏するという壮大な企画。昨年傘寿を迎えた小林はこれまでに13回の全曲指揮を完遂してきたが、2021年のコンサートが、彼が振る全曲指揮の最後の公演となることが決定した。これに先立ち、11月17日、東京文化会館で記者会見が行われた。登壇者は小林と、コンサートの企画者である三枝成彰の2名。

左:小林研一郎 右:三枝成彰 
All Photos:編集部

 同コンサートは、2003年に岩城宏之らの指揮と在京オケの演奏でスタート。現在は、N響第1コンサートマスターである篠崎史紀が率いる特別編成の管弦楽団、岩城宏之メモリアル・オーケストラが演奏を務めている。小林は岩城の追悼公演として06年に開催された第4回に初参加。最初はあまりにも難しいと思い全曲指揮を辞退していたが、篠崎の説得により出演を決意し現在に至る。

小林研一郎

 小林は会見で「ベートーヴェンの交響曲についてひたむきに勉強を重ね、自問自答を繰り返してきた。肉体的には厳しいこともあるが、心の中では脈々と情熱の炎が燃え尽きることなく続いている。この最後の全曲演奏会への挑戦を多くの方に知っていただきたい」と熱い思いを語った。企画者の三枝は「はじめは本当に疲れるだろうなぁと思っていたが、今では毎年楽しみになっている。聴衆もこの公演で長い時間を一緒に過ごすと、隣の席の人と交流が生まれたり…、ひとつの行事のようになっている。このようなコンサートを実現してきた小林先生にはとても感謝している。来年以降もできる限り続けていきたい」と述べた。

 小学4年生の時にラジオで「第九」を聴いて感動したことが、音楽の道に進むきっかけとなったという小林。全交響曲連続演奏会に初めて参加してから15年が経った今でも、年中楽譜と向き合う時間をつくり、体力づくりのために散歩を欠かさないなど真摯な姿勢と情熱を持ち続けている。“炎のマエストロ”が挑む最後の偉業を見届けたい。

第19回 ベートーヴェンは凄い!
全交響曲連続演奏会2021

2021.12/31(金)13:00(終演予定23:25) 東京文化会館


指揮:小林研一郎
管弦楽:岩城宏之メモリアル・オーケストラ(コンサートマスター:篠崎史紀)
ソプラノ:市原愛
アルト:山下牧子
テノール:錦織健
バリトン:青山貴
合唱:ベートーヴェン全交響曲連続演奏会特別合唱団
お話:三枝成彰

メイ・コーポレーション
https://saegusa-s.co.jp