師弟共演が実現! 2台のフォルテピアノで名手の音色に酔う
平日のランチタイムの1時間、第一生命ホールで充実のトークと演奏によるコンサートが楽しめる「昼の音楽さんぽ」。音楽ライターの山野雄大がナビゲートする本シリーズ27回目に登場するのは、さまざまな時代楽器と演奏様式に精通する小倉貴久子と川口成彦だ。フォルテピアノ奏者として第一線で活躍を続け鍵盤楽器の多様な魅力を伝え続けてきた小倉と、第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール第2位およびブルージュ国際古楽コンクール最高位に輝き、チェンバロからモダンピアノまでを駆使して世界的奏者たちと共演を重ねている川口は、師弟関係に当たる。
今回二人が演奏するのは2台のフォルテピアノだ。オリジナルはともに1795年に製造されたヴァルターおよびデュルケン・モデルの楽器(前者はクリス・マーネ、後者は太田垣至によるレプリカ)で、どちらもモーツァルト時代に人気を博した。ウィーン式(跳ね上げ式)アクションの軽やかで明るい音色が特徴的だ。
この両者を用いたアンサンブルでプログラムが構成されている。モーツァルト作品は、ラルゲットとアレグロ(レヴィン補筆)、フーガK.426、そしてよく知られるソナタK.448である。また、大バッハの末息子であるJ.C.バッハのソナタop.15-5という爽やかな作品が取り上げられるのも注目だ。闊達で明朗なフォルテピアノの音色で聴く、名手二人の息の合ったアンサンブルを楽しみに待ちたい。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2021年10月号より)
2021.10/8(金)11:15 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
https://www.triton-arts.net