大阪交響楽団が来シーズン就任の指揮者3名を発表

 大阪交響楽団は、現 正指揮者の太田弦が2022年3月に退任するのに伴い、同年4月より常任指揮者に山下一史、ミュージックパートナーに柴田真郁、首席客演指揮者に髙橋直史が新たに就任することを発表した。契約期間はそれぞれ3年間。

山下一史 (c) ai ueda

 山下は桐朋学園大学を卒業後、ベルリン芸術大学に留学。指揮を尾高忠明、小澤征爾、秋山和慶、故・森正に師事し、1986年ニコライ・マルコ国際指揮者コンクールで優勝。85年からはカラヤンのアシスタントを務めた。国内では、88年のデビュー以降、九響常任指揮者、仙台フィル正指揮者などを歴任。2016年には千葉響の音楽監督に就任し、来年4月からは愛知室内オーケストラでも音楽監督のポジションに就く。就任後に出演する2回の定期演奏会では、ワーグナー&R.シュトラウス、シューマン&メンデルスゾーンといったドイツ音楽を得意とする山下らしいプログラムが予定されている。
 山下は、9月14日にフェニーチェ堺でおこなわれた記者会見で、今回の就任について次のように語った。
「常任指揮者のポジションをいただきビックリしていますが、このご縁を大切にして育てていかなければと覚悟を持ってお引き受けしました。旧知の間柄ではないですから、団員の信頼をこれから勝ち得ていかなければいけないという意味では他の2人よりチャレンジングなことかもしれませんが、以前に共演した時のことを思い返してみると、限られたリハーサルの時間のなかで音楽的な会話が成立したと感じました。大阪交響楽団のサウンドを我々3人で作っていくことが大事だと思っています。『山下&大響サウンド』がこれからの3年間でどう作り上げられるか、とても楽しみです。私にとって大切な作品を大阪交響楽団との新しい出発となる定期演奏会で演奏できることは非常な喜びで、力のこもったプログラムとなっています。還暦を迎え、指揮者としては30年以上。これまで積み重ねてきたすべての経験を、この3年間のために役立てたいと考えています」

柴田真郁 (c) T.Tairadate

 柴田は1978年、東京生まれ。国立音楽大学声楽科を卒業。ドイツやイタリアの劇場等で研鑽を積んだ後、オペラ指揮者として活動をスタート。大響とは20代の頃から副指揮者として共演経験がある。藤原歌劇団、日生劇場をはじめオペラを中心に活動してきた柴田だけに、就任後初の定期演奏会で振るドヴォルザークの《ルサルカ》(演奏会形式)は注目を集めそうだ。

髙橋直史

 髙橋は、東京藝術大学及び同大学大学院を経て、ミュンヘン音楽大学大学院指揮科修了。バイエルン州立歌劇場で研鑽を積んだ。国内では、これまで大阪交響楽団のほか、新日本フィル、読響、名古屋フィル、セントラル愛知響等を指揮。2006年から今年2月まで、長きにわたりドイツ・ザクセン州のエルツゲビルゲ歌劇場音楽総監督とエルツゲビルゲ交響楽団首席指揮者を務めた。

 経験豊富な山下とオペラの分野でも多くのキャリアを積んできた柴田・髙橋を迎え、新体制で迎える大阪交響楽団の来シーズンに期待が高まる。

大阪交響楽団

◎新指揮者出演公演
第255回定期演奏会 常任指揮者就任記念 “英雄とは”
2022.5/13(金)19:00

山下一史(指揮)
石橋栄実(ソプラノ)
ワーグナー:ジークフリート牧歌
R.シュトラウス:4つの最後の歌
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」

第258回定期演奏会 首席客演指揮者就任記念 “音楽と文学”
2022.9/2(金)19:00

髙橋直史(指揮)
(ソリスト未定)
フェルディナント・ヒラー:「デメートリウス」序曲 op.145
シェーンベルク:6つの歌 op.8
シューマン:交響曲第1番 変ロ長調 op.38「春」

第261回定期演奏会 オペラ・演奏会形式シリーズ Vol.1《ルサルカ》
2023.2/5(日)15:00

柴田真郁(指揮)
ドヴォルザーク:歌劇《ルサルカ》op.114 演奏会形式(チェコ語・字幕付/一部カット有)

第262回定期演奏会
2023.3/3(金)19:00

山下一史(指揮)
河村尚子(ピアノ)
シューマン:付随音楽「マンフレッド」序曲 op.115
シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.54
メンデルスゾーン:交響曲 第5番 二短調「宗教改革」op.107

大阪交響楽団
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