【会見レポート】笈田ヨシ演出、オペラ《蝶々夫人》〜全国共同制作プロジェクト

 2017年1月22日の金沢を皮切りに、全国4都市で上演される全国共同制作プロジェクト、プッチーニ:歌劇《蝶々夫人》。
 12月13日、東京芸術劇場で、演出の笈田ヨシ、指揮者のミヒャエル・バルケのほか、主なキャストから、中嶋彰子/小川里美(蝶々夫人)、鳥木弥生(スズキ)、ロレンツォ・デカーロ(ピンカートン)、サラ・マクドナルド(ケイト)、晴雅彦(ゴロー)が参加し会見が行われた。
(2016.12.13 東京芸術劇場 Photo:M.Terashi/TokyoMDE)

左から)笈田ヨシ(演出)、中嶋彰子(蝶々夫人)、ミヒャエル・バルケ(指揮)、ロレンツォ・デカーロ(ピンカートン)、サラ・マクドナルド(ケイト)、小川里美(蝶々夫人)、鳥木弥生(スズキ)、晴雅彦(ゴロー)
左から)笈田ヨシ(演出)、中嶋彰子(蝶々夫人)、ミヒャエル・バルケ(指揮)、ロレンツォ・デカーロ(ピンカートン)、サラ・マクドナルド(ケイト)、小川里美(蝶々夫人)、鳥木弥生(スズキ)、晴雅彦(ゴロー)

 今回の《蝶々夫人》はヨーロッパで演出家として活躍し、俳優としても多くの映画に出演する笈田ヨシによる日本でのオペラ初演出となる。題名役は中嶋彰子と小川里美のダブル・キャスト。各公演地に縁のある歌手を起用しており、オーケストラ・合唱はそれぞれ地元の団体が演奏する。舞台美術、衣裳、照明には、笈田の信頼する海外の
スタッフが集結した。
 1904年のイタリア・ブレシア版と1906年パリ版に基づく上演となる。

●山田正幸(総合プロデューサー)
「この共同制作プロジェクトは、2009年の金沢と東京芸術劇場の共同制作《トゥーランドット》から始まり、去年は《フィガロの結婚》と、複数のホールと複数の芸術家、各地のオーケストラが参加しみなさんで苦労しながら作ってきました。本当はヨーロッパのように1都市で何十公演もできるのが理想的。東京でもロングラン公演は行えていない現状で、日本はまだまだオペラの先進国より遅れている。ただ、そういう土壌ができるように頑張っていきたいというのがこのプロジェクトの趣旨」

●笈田ヨシ(演出)
「ドイツの若い指揮者がイタリアの音楽をどのように作るのかとても楽しみ。いつもはヨーロッパで仕事をしていて日本で演出するのは初めてですが、いつもどおりにやるだけ。《蝶々夫人》を日本でやるということはとても意味があり、興味のあること。音楽を通じてお客様と語り合いたい。どんな人が見ても退屈しないものを作りたい。プッチーニが描いたエキゾチシズム、日本の風俗、異国情緒というものを、今の日本人が見ても信じられる話、昔日本にあった真実、日本の心持ちを表現したい」
 
 

 
 

 
 

 
 

●ミヒャエル・バルケ(指揮)
「2年前の《メリー・ウィドウ》以来、2度目の来日となる。《蝶々夫人》はヨーロッパでもトップ10に入る愛されるオペラですが、日本で上演することに大きな意味があるのではないか。プッチーニは日本のことをよく研究した上で、日本、芸者さんの生活や人生、女性の人生、といったものを彼の視点で書いた。笈田さんが日本でどのような演出をなさるのか、これをどのように扱われるのかとても興味をもっている。スコアの中で日本の歌が節々に出てくるが、作曲様式はあくまでイタリア様式。みなさんと仕事ができることをとても楽しみにしている」
 
 

 
 

 
 

 
 

●中嶋彰子(蝶々夫人)
「笈田さんは演出家としても俳優としても、とても高いところにいる人。長年、尊敬しています。稽古を始めたばかりですが、ちょっとしたシーンでの演技指導ですでに圧倒されています。指揮者は歌手にとって、仲間になるのか敵になるのか、自分の命を渡すか闘うかの人間関係になるのですが、バルケさんはとても研究をされていて、楽譜の読み方、解釈の仕方、プッチーニの書いた内容など、毎日勉強させていただいていて感謝しています。いつかこの役をやりたいと思っていたので、素晴らしい指揮者と演出家について行き、自分なりの蝶々夫人を演じきれたら」
 
 

 
 

 
 

 
 

●小川里美(蝶々夫人)
「2009年から何度もこのシアター・オペラには関わらせていただいていて、今回蝶々さんを歌わせていただけて光栄なことだと思っています。プッチーニと自分ということを考える機会が多かったイタリアでの歌人生でした。残されている楽譜、台本に忠実に、でも自分のオリジナリティが出せるようになればいいなと思っています。10年前、イタリアで笈田さんが演出されていた《ナブッコ》を拝見して、今こうしてご一緒できるのも感慨深いし、バルケさんとはプッチーニの音楽観を共有できていると感じています。いいものが作れるのではないかと、今からワクワクくしています」
 
 

 
 

 
 

 
 

●ロレンツォ・デカーロ(ピンカートン)
「日本でピンカートンを演じられることはまさしく素晴らしい経験、日本でやることは難しいことですが、特別な挑戦だと感じています。素晴らしい演出家、指揮者歌手たちと仕事が出来ることを誇りに思う。オペラをやるのに一番重要なのは、良いグループを作り、良いフィーリング、良い感動を分かち合ってやること。良い舞台にしたい」
 
 

 
 

 
 

 
 

●鳥木弥生(スズキ)
「オペラの中で一番多くスズキを演じていますが、日本でスズキを演じるのは初めて。今までの演出はプッチーニの目指したファンタジーな日本とはかけ離れていると違和感を感じていたので、今回はリアルな私たちの感性、日本の感覚でできることを、楽しみにしています。スズキような、メゾソプラノにとって歌手・女優として良いものを書いてくれたプッチーニに感謝しています。マエストロは、イタリア語の言語センスは素晴らしいものがあり、これまで以上にブラッシュアップさせていただく機会を与えていただきすごく嬉しく思う。理想的なプロダクションで5公演深めていけるのを楽しみにしています」
 
 

 
 

 
 

 
 

●サラ・マクドナルド(ケイト)
「この《蝶々夫人で》オペラ・デビューとなります。オペラ出演は夢にも思っていなかったので、この役を私に託して下さった方々に心から感謝しています。初めてということで、雲の上の存在でしかないみなさんに支えていただいている毎日。オペラという新天地を開いて、みなさんの期待に応えて、舞台に私の居場所があると証明したい」
 
 

 
 

 
 

 
 

● 晴雅彦(ゴロー)
「オペラデビューがこの役でしたので、自分にとって、なくてはならない役の一つ。素晴らしい演出家、キャストの方々とご一緒するのですが、《蝶々夫人》では今回初めての共演。今回いろいろな場所で歌わせていただけてとても光栄」
 
 

 
 

 
 

 
 

◆全国共同制作プロジェクト
プッチーニ:歌劇《蝶々夫人》(全幕・日本語字幕付・原語上演)

演出:笈田ヨシ
指揮:ミヒャエル・バルケ
舞台美術:トム・シェンク
照明デザイン:ルッツ・デップ
衣裳:アントワーヌ・クルック

蝶々夫人:中嶋彰子(金沢、大阪、高崎、東京2/19)、小川里美(東京2/18)
スズキ: 鳥木弥生
ケイト・ピンカートン:サラ・マクドナルド
ピンカートン:ロレンツォ・デカーロ
シャープレス:ピーター・サヴィッジ
ゴロー: 晴雅彦
ヤマドリ公爵:牧川修一
ボンゾ: 清水那由太
役人: 猿谷友規
いとこ: 熊田祥子
ダンサー:松本響子
父親:川合ロン
召使:関裕行、松之木天辺
村人:重森一、山口将太朗

戸籍係、ヤクシデ、蝶々夫人の母、叔母は各地合唱団より選出
子供:各地オーディションより選出

管弦楽:
[金沢公演]オーケストラ・アンサンブル金沢
[大阪公演]大阪フィルハーモニー交響楽団
[高崎公演]群馬交響楽団
[東京公演]読売日本交響楽団
合唱:
[金沢公演]金沢オペラ合唱団
[大阪公演]フェスティバル・クワイア
[高崎公演]高崎オペラ合唱団
[東京公演] 東京音楽大学

2017.1/22(日)14:00 金沢歌劇座(金沢)
問 金沢芸術創造財団076-223-9898
http://www.kanazawa-arts.or.jp/
1/26(木)18:30 フェスティバルホール(大阪)
問 フェスティバルホール06-6231-2221
http://www.festivalhall.jp/
2/4(土)16:00 群馬音楽センター(高崎)
問 群馬音楽センター027-322-4527
http://www.takasaki-foundation.or.jp/
2/18(土)、2/19(日)各日14:00 東京芸術劇場(東京)
問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296
http://www.geigeki.jp/