B→C 依田真宣(ヴァイオリン)

バッハへの敬愛をこめた渾身の挑戦

©Michiharu Okubo
©Michiharu Okubo
 
 2017年最初の「B→C」は、東京フィルのコンサートマスター、依田真宣。1985年生まれの彼は、東京芸大を経てソリストやゲスト・コンマスとして活動し、2015年4月から現職にある。
 まず基本の“B=バッハ”は無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番。「シェリングの演奏に衝撃を受け、バッハという作曲家が自分の中でとても大切な存在になった」と語る、原点ともいうべき作品だ。当シリーズには入りにくいロマン派=メンデルスゾーンのソナタの選曲も特徴的。これは「バッハと同じ位大切な作曲家。不思議な魅力と人間への愛が沢山含まれている」がゆえに選ばれた。“C=コンテンポラリー”は、シュニトケ、ファジル・サイ、池辺晋一郎の作品。中でもサイには「大好きな音楽家で、作品も本当に魅力的」と心を寄せる。同曲と池辺の無伴奏の難曲も要注目だ。「バッハへ共感している作曲家と、自分自身の彼らへの共感度の強さ」を視点に組まれたこのプログラムは、「今の自分の音楽を全て出せる選曲」と力も入る。
 ピアノはベテランの山田武彦。東京フィルの明日を担う精鋭の真摯かつ意欲的なステージにぜひ触れたい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ 2017年1月号から)

2017.1/17(火)19:00
東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
http://www.operacity.jp/