河竹黙阿弥生誕200年 & ウィリアム・シェイクスピア没後400年 尾上菊之助『歌舞伎とシェイクスピアの音楽』

東西2大劇作家へのオマージュ

 2016年は、歌舞伎の狂言作者である河竹黙阿弥の生誕200年、そしてイギリスを代表する劇作家ウィリアム・シェイクスピアの没後400年というメモリアルイヤー。これを機に河竹黙阿弥ゆかりの地である墨田区のすみだトリフォニーホールで、『歌舞伎とシェイクスピアの音楽』と題したコンサートが行われる。この公演に出演し、歌舞伎とシェイクスピア作品を体現するのが、今を時めく歌舞伎役者、尾上菊之助である。
 尾上菊之助が属する尾上菊五郎家、音羽屋のお家芸には河竹黙阿弥の書いた『青砥稿花紅彩画』、通称『白浪五人男』という有名な演目がある。菊之助は1996年5月に歌舞伎座にて、この『白浪五人男』の弁天小僧を演じ、5代目尾上菊之助を襲名した。そして、2005年にはシェイクスピア作品を歌舞伎化した『NINAGAWA 十二夜』で主演を務め、初演からわずか2年後の07年に同作品のロンドン公演を果たしている。菊之助は、東洋と西洋を代表する二人の作家へのオマージュを捧げるのに、ふさわしい人物なのである。
 コンサートの第1部では菊之助が弁天小僧菊之助の台詞を実演するほか、『京鹿子娘道成寺』の一部を素踊りで踊る。第2部ではプロコフィエフのバレエ組曲「ロメオとジュリエット」(抜粋)に合わせ、菊之助が、黙阿弥と同時代に活躍した作家、坪内逍遥の訳をもとにしたオリジナル台本で、名場面を語る。一度限りの素晴らしいステージをぜひ体験していただきたい。
文:山下シオン
(ぶらあぼ 2016年11月号から)

11/29(火)19:00 すみだトリフォニーホール
問:トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212
http://www.triphony.com