伶楽舎第十三回雅楽演奏会 武満 徹「秋庭歌一具」

武満の雅楽でダンス界の奇才が踊る一夜限りの出会い

 1985年の発足以来、芝祐靖音楽監督の下、雅楽の古典曲からの復元、現代作品に至るまで幅広い演奏活動を行ってきた雅楽演奏団体の伶楽舎が第十三回雅楽演奏会を開催する。曲目は、芝復曲・構成による「露台乱舞」と武満徹作曲「秋庭歌一具」の2本立て。とりわけ後者は、武満の代表作で、唯一の雅楽アンサンブルの作品である。伶楽舎では既に24回も演奏してきたが、今年が武満没後20年に当たることから、ダンス界の奇才、勅使川原三郎を振付、照明、そして舞に迎え、装いも新たに上演することとなった。勅使川原は、最近も本拠地のカラス・アパラタスでワーグナー作曲による『トリスタンとイゾルデ』やドストエフスキーの『白痴』などで、自在の境地を切り開いているだけに、勅使川原と佐東利穂子の出演がダンス・ファンとしては大いに気になるところだ。会場はメモリアル公演にふさわしく、武満の名を冠した東京オペラシティ コンサートホール。ホールの空間を一つの宇宙に見立てて構想された舞台がどのようなスケールを生み出してくれるのか大いに期待したい。前半の「露台乱舞」は、平安後期から中世にかけて宮中で行われていた歌舞の宴を再現したもので、管絃、催馬楽、乱舞と今様などを組曲に構成、雅楽の古典様式がたっぷり味わえる内容である。
 秋の一夜、雅楽を楽しみながら、平安時代にタイムスリップしてみるのはさぞかし風流なことだろう。
文:渡辺真弓
(ぶらあぼ 2016年8月号から)

11/30(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京コンサーツ03-3200-9755
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