山田和樹(指揮) バーミンガム市交響楽団

待望の共演が遂に実現!

 世界を舞台に破竹の勢いで快進撃を続ける山田和樹が、この6月にバーミンガム市交響楽団と来日公演を行なう。楽しみな顔合わせが実現した。
 バーミンガム市交響楽団といえば、かつて若き日のサイモン・ラトルを音楽監督に抜擢して、その評価を飛躍的に高めたオーケストラである。当時まだ25歳の若者だったラトルを招いたのは1980年のこと。その後、ラトルはベルリン・フィルのシェフに就任するなど大指揮者への道を歩んでいるが、一方、バーミンガム市交響楽団も指揮者選びに関しては慧眼ぶりを発揮している。ラトルの次はサカリ・オラモ、さらに続いてはアンドリス・ネルソンスと、その時点での若手の実力者をシェフに据えてきた。ネルソンスがボストン交響楽団へ移り、現在のところ音楽監督のポストは空席となっているが、来日公演にあたって山田和樹と共演するというのは、実にこの楽団にふさわしい選択といえるのではないだろうか。
 プログラムはベートーヴェン「劇音楽『エグモント』序曲」、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」(ピアノ:河村尚子)、ベートーヴェン「交響曲第7番」。ベートーヴェンの第7番は、今や来日オーケストラがこぞってとりあげる人気曲だが、山田和樹がこの名曲とどう向き合うのかも興味深いところ。昨年、日本フィルでベートーヴェンの交響曲第1番を指揮した際は、往年の巨匠風の解釈で驚かせてくれたが、果たして今回はいかに。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年3月号から)

6/28(火)19:00 サントリーホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp
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