初のセルフコレオグラフィーでシューベルトを踊る
笠井のダンスの特徴として、ソロであっても群舞作品であっても、自身の踊りを即興で通すことが挙げられる。古希を過ぎているが、大胆で奔放な踊りに接する限り、肉体も精神も若々しい。しかし、今回の『冬の旅』は初のセルフコレオグラフィー、すなわち自身に振付を行うという新たな挑戦だ。「即興を裏返しにしたような振付作品であれば、と願っている」と抱負を語る。
即興を裏返しに!?無論、単に即興で創った動きを固め連ねて踊るだけではあるまい。笠井は他の踊り手に振り付けた際に、踊り手の個性を鮮やかに引き出すし、音楽性も豊かである。その鮮やかなマジックが自身と向き合った時に、どう作用するのだろうか。深遠で甘美、哀切極まりない音楽に身を委ねつつ、新たな伝説の誕生をしかと見届けたい。
文:高橋森彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年2月号から)
2/12(金)〜2/14(日) 東京芸術劇場 シアターイースト
問:ハイウッド03-3320-7217
http://www.akirakasai.com