東京オペラシティ B→C 佐藤卓史(ピアノ)

様々な時代の舞曲を集めて

 音楽のジャンルやスタイルは、人々のニーズや歴史的な流れがあって生まれる。佐藤卓史はそうしたコンテクストへの飽くなき好奇心・探究心を持つ知性派ピアニスト。彼が東京オペラシティの『B→C』のために選んだテーマは「舞曲」。「バロックから現代まで変わりなく続く、このジャンルの歴史的変遷を俯瞰的に聴くのは面白いのでは」と考えた。前半は「組曲」。バッハ「フランス組曲第6番」は、バロックダンスを学んだ経験を生かした演奏になりそうだ。同時代作品からは、吉松隆の「プレイアデス舞曲集 Ⅶ」のほか、佐藤自身が委嘱したチョン・ミンジェ(エリザベートコンクール作曲部門優勝者)の作品の世界初演も。後半は「ワルツ」。佐藤が得意とするシューベルトの「12の高雅なワルツ」は、ウィンナ・ワルツの源流といえる曲だ。4人のガールフレンドに献呈したというコルンゴルトの作品や、ウィーンで尊敬を集めたパウル・コントの秘曲など、オーストリアの香りを届けてくれる数々のワルツも楽しみだ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年1月号から)

2016.1/12(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
http://www.operacity.jp