ハーゲン・クァルテット

常に新たなチャレンジとして作品に立ち向かう

©Harald Hoffmann
©Harald Hoffmann

 1992年以来、ザルツブルク市と友好都市提携を結ぶ川崎市。その川崎の音楽的なシンボルともいえるミューザ川崎シンフォニーホールに、楽都ザルツブルクが生んだハーゲン・クァルテットが登場する。
 ザルツブルクのハーゲン家の4人の兄弟姉妹によって結成されたハーゲン・クァルテットは、その後第2ヴァイオリンを交替させたが、全員がザルツブルク・モーツァルテウム・アカデミーで学んだ同じ背景を共有する奏者たちである。
 今回の来日では、川崎公演のために組んだプログラムが披露される。曲はハイドンの弦楽四重奏曲第58番、モーツァルトの弦楽四重奏曲第21番「プロシア王第1番」、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番の3曲。
 2013年に聴かせてくれたベートーヴェンの四重奏曲ツィクルスが記憶に新しいハーゲン・クァルテットだが、今回のプログラムはその外伝となる古典派プログラムとでもいえるだろうか。後期ベートーヴェンの玄妙な世界を軸に、同じく後期の作品にあたるモーツァルトと、機知に富んだハイドンの作品が加わる。
 ハーゲン・クァルテットは世界的な名声を築きながらも、決して立ち止まることのない四重奏団である。名曲を「得意のレパートリー」のパッケージに包んでくりかえし提供するのではなく、常に新たなチャレンジとして作品に立ち向かい、ときには大胆な解釈を辞さない。発見にあふれた公演になるにちがいない。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年6月号から) 

9/26(土)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 
http://www.japanarts.co.jp

他公演
9/27(日)青山音楽記念館バロックザール 問:075-393-0011
9/28(月)武蔵野市民文化会館 問:0422-54-2011
9/30(水)いずみホール 問:06-6944-1188
10/1(木)〜10/4(日)トッパンホール 問:03-5840-2222