ロームシアター京都、オープニング事業検討委員長に小澤征爾さん

京都市は11日、2016年1月に開館予定の「ロームシアター京都」(旧京都会館)のオープニング事業検討委員会の委員長に、世界的指揮者の小澤征爾さん(77)が就任すると発表、18日、京都コンサートホールで第1回目の検討委員会を開いた。

 同シアターは現在リニューアル工事中で、開館後は約1年間にわたり、記念事業を実施する。
 これに先立ち行われた記者会見には、小澤さん、門川大作京都市長ほか、委員を代表し5人が出席した。
 
 会見で門川市長は「京都会館は半世紀を越えて文化芸術、市民の幅広い活動の場となった。ロームシアター京都として再出発した後は、1年間にわたり、世界を視野に文化芸術を発信するオープニング事業を展開、また、市民の活動の場としたい。京都市民の潜在的な文化芸術の力を活かし、顕在化していきたい。日本の文化芸術の発信拠点としてのシンボルとなることを期待している」と述べた。
 
 委員長の小澤さんは、過去に京都会館で指揮したこともあり、また、大規模改修を進める京都会館の命名権を持つ電子部品製造のローム株式会社(本社:京都市)および公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーションが支援する「ローム ミュージック ファンデーション 音楽セミナー」の講師を務め、小澤征爾音楽塾オーケストラ・プロジェクトを開催するなど、京都とのつながりも深い。

 小澤さんは委員長就任について次のように語った。
 「これまでボストン交響楽団、日本フィル、京都市交響楽団と何度か京都会館で演奏した。今回、音響も舞台装置も、よりよいものに変えていくというのは、すばらしい考えだと思う。1年間のオープニングプログラムを検討するように言われて委員長になったが、ほんとうに大事なのはその後だと思う。建物だけではダメで、中身が大事、長い目で考えなければならない。それでも、最初の1年、お祭りとしてプログラムを作るということで引き受けた。絶対に成功させなければならない。このあと検討委員会を開催するが、ホールの中身は先々までじっくりと考えなければならない。そして、市民とのつながりも大事。子どもたちにも親しみのあるホール、内容にしていきたい。音楽以外の分野においては、世界の文化都市としての京都はほんとうにすばらしい。世界中の人が訪れたい街。日本に旅行に来て京都に来ない人はいないだろう。京都市交響楽団ができたとき、日本で唯一の自治体直営のオーケストラだった。市長さんの考えでできた。そういったことをみても、京都には秘めた力があると思う。ただ、残念ながら、みんなにわかる形での音楽の魅力というものが伝えきれなかったのだろうと思う。今回のホールリニューアルはすばらしいチャンス。そのチャンスを活かして、市民と近隣の宝物になるようにしなければならないと思う」
 
 また、小澤さん自身が芸術監督としてオペラ作品の指揮台に立つことの可能性については「やりたいことはいっぱいある。けれど、いまは体調のこともあり、何もできていない。とてもそこまで考えられる状況ではない。みんなと相談しながらやっていきたい。1年のプランを考えるのはとてもたのしいけれど、失敗しちゃいけない、とても大変なことだと思う」と述べた。
 
 オープニング事業のコンセプトや具体的な演目などについては、2014年6月頃まで、計4回にわたり小澤さんら検討委員が協議する。
Photo:M.Terashi/TokyoMDE
 
■ロームシアター京都オープニング事業検討委員会委員(肩書き・備考)
委員長:小澤征爾(指揮者・音楽)
委員:
井上八千代(京舞井上流五世家元・伝統芸能)
大島祥子(一級建築士、技術士、スーク創世事務所代表、京都岡崎魅力づくり推進協議会事務局マネージャー・市民)
建畠晢(京都市芸術大学学長、詩人、京都市芸術文化協会理事長・教育/文化芸術団体)
津村卓(演劇プロデューサー、北九州芸術劇場館長、地域創造プロデューサー・演劇)
長尾真(京都市音楽芸術文化振興財団理事長、元京都大学総長、前国立国会図書館館長・指定管理者/学術)
長屋博久(前京都市PTA連絡協議会会長・市民/保護者)
平竹耕三(京都市文化市民局長・京都市)
 
■ロームシアター京都 – 公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団
 
 ■ロームシアター京都 - ローム特設サイト