風ぐるま

現代とバロックが交差する一夜

 「風ぐるま」は2012年にスタートした、波多野睦美(声)、栃尾克樹(バリトン・サックス)、高橋悠治(ピアノ・作曲)という異色の顔合わせによる新ユニット。ユニット名には「時代を越えて音楽の輪を回す」というキャッチフレーズが添えられている。ユニットとしてのレパートリーはバロックと現代音楽。高橋と波多野、高橋と栃尾は、以前からそれぞれ共演していたので、高橋を軸にした2つのコラボの合体ともいえるアンサンブルだし、声とピアノ、サクソフォンとピアノという、2つの息の音楽の融合といってもよいだろう。今回は、4月14日にリリース予定のCD『風ぐるま』(パウ・レーベル)の発売記念コンサート。曲目は、J.S.バッハ「私を憐れみたまえ」(マタイ受難曲)、マラン・マレ「膀胱結石手術図」や、その「膀胱結石手術図」の現代版ともいえる高橋悠治「網膜裂孔」など、このメンバーが揃って面白くないわけがない、興味津々な一夜。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2014年4月号から)

★4月14日(月)・渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
問:プリマ楽器ショールーム03-3866-2223