石丸由佳(オルガン)

サントリーホールがプラネタリウムになる日

(C)Naoko Nagasawa

 パリのノートルダム大聖堂をはじめ世界10ヵ国以上でオルガン・リサイタルを行ってきた石丸由佳。「日本のコンサートホール・オルガンだからこそできることを開拓したい」という思いで意欲的な企画も展開している。今回はサントリーホールがプラネタリウムに! 壮大なオルガンの響きとともに星空が現れるという、ホール初の試みだ。プラネタリウムの投影は一般社団法人「星つむぎの村」の協力のもと行われる。また、演奏の合間には理論物理学者で北海道「美宙」天文台台長の佐治晴夫による解説を交える趣向だ。

 「私は佐治先生の大ファンで、日頃から先生の講演に足を運んだり、先生からCDに文章をお寄せいただくなど、交流を持たせていただいてきました。先生はもともとオルガンがお好きだということもあって、今回の公演が実現できることになりました」

 子どもの頃から近所のプラネタリウムに通っていたという石丸。留学先のドイツで見た星空も忘れられない。

 「ドイツの田舎町の教会に古いオルガンの調査に出かけた時のこと。夜になると満天にこぼれ落ちそうなほど星々が光っていて、そのオルガンが作られた18世紀当時も人々は同じ景色を見ていたのだろうなと思うと、不思議な気持ちになりました。時代や国境を越えて、だれもが同じ星空を見ることができる。同じように音楽も、時空を越えて人々に届けられる。そんな宇宙と音楽の共通点を感じながら、お客様からよく寄せられる『パイプオルガンから宇宙を感じる』という言葉の所以を探っています」

 コンサートの第1部では、J.S.バッハと『さらば宇宙戦艦ヤマト』の音楽を。
 「トッカータやフーガのような作品と、讃美歌に基づくコラール作品を聴いていただきます。映画『惑星ソラリス』で使われた作品(BWV639)や、映画繋がりということで宮川泰さんの『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』より、オルガンのために書かれた『白色彗星』も演奏します。サントリーホールのオルガンの地響きのような最低音も登場します」

 第2部はピアノ独奏曲(パルムグレン)や管弦楽曲(マスネ)、宗教声楽曲(フォーレ)といった、原曲はオルガン独奏作品ではないバラエティにとんだ曲目。
 「オルガンの持つ『一人オーケストラ』のような魅力を体現するために、レジストレーション(音色作り)を工夫しながら、無限に生まれる新しい音色でお届けします。今は全世界で落ち着かない日々となっていますが、このコンサートではみんなで上を向いて、星とオルガンの音色をたっぷりと浴びていただければと思います」
取材・文:飯田有抄
(ぶらあぼ2021年5月号より)

*緊急事態宣言発令により本公演は延期となりました。(4/26主催者発表)
【延期公演】2021.7/14(水)開演19:00
延期公演のチケット再発売:6/12(土)

詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

石丸由佳 オルガン・リサイタル ─J.S.バッハと夢見る宇宙─
2021.5/9(日)14:00 サントリーホール
問:サンライズプロモーション東京0570-00-3337 
https://sunrisetokyo.com