世界のオペラ、バレエ、オーケストラの名曲を一気に体感
私たちの生活を激変させた新型コロナ。当たり前だったことが難しくなった一つが、海外旅行だ。けれど音楽という「翼」は、私たちの心をそれが生まれた国へと連れていってくれる。
神奈川県民ホールの「音楽でめぐる世界の旅 ガラコンサート」は、そんな「音楽の翼」を体験させてくれる好企画。大小のコンサートやギャラリーで構成される「オープンシアター」のメインイベントだが、さまざまなジャンルから、「国籍」を意識した作品が選ばれているのがポイントだ。19世紀のパリを席巻したオッフェンバックの愉快なオペレッタ《天国と地獄》、ウィーンっ子を魅了したモーツァルトのメルヘンオペラ《魔笛》からの二重唱、ロシアの星チャイコフスキーの大傑作「ピアノ協奏曲第1番」、スペインが舞台の大活劇『ドン・キホーテ』を題材にしたミンクスのバレエと、さまざまな国の雰囲気が味わえる。水先案内人は、バリトン歌手としてコンサートにも参加する宮本益光。ユーモアと音楽愛に溢れたナビゲートは、子どもから大人まで虜になること請け合いだ。オペラやバレエを得意とする上野正博の指揮と神奈川フィルハーモニー管弦楽団、地元神奈川出身のチャーミングなソプラノ横森由衣、人気と実力を兼ね備えたピアノの外山啓介、東京シティ・バレエ団の佐合萌香や吉留諒など出演者の顔ぶれも華やかである。
開演前のステージ見学や、終演後のバックステージツアーが予定されているのも嬉しい。名曲が導く「世界の旅」に加えて、ホールという「場」の楽しさもぜひ体験していただきたい。
文:加藤浩子
(ぶらあぼ2021年5月号より)
2021.5/30(日)14:00 神奈川県民ホール
問:チケットかながわ0570-015-415
https://www.kanagawa-arts.or.jp
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