佐藤卓史 シューベルトツィクルス ピアノ曲全曲演奏会 第1回 「幻想曲 –Fantasien–」

シューベルトの新たな魅力を描き出す

 ドイツ、オーストリアでの7年間にわたる留学生活を経て、昨年活動拠点を日本に戻し、新たなスタートを切ったピアニストの佐藤卓史。この春から、彼が特別な愛着を持つというシューベルトのピアノ作品(独奏曲、連弾曲、ピアノを含む室内楽曲)を網羅する演奏会シリーズを開始する。
 佐藤はハノーファー留学中の2007年にシューベルト国際ピアノコンクールで優勝。これをきっかけにシューベルトの演奏機会は増え、またシューベルト弾きとしてヨーロッパで認められるようになった。誠実に音楽と向き合う姿勢がひしひしと伝わる、考え抜かれた演奏。近年はそこに自由さとやわらかさが加わり、ますます光を放つようになった。
 ライフワークとして取り組みたいというシューベルト・ツィクルスの初回は、演奏機会の少ない初期の作品に加え、「グラーツ幻想曲」や「さすらい人幻想曲」などを取り上げる。知的で心に静かに訴えかける佐藤のピアノが、作品の新たな魅力を描き出す。大いに期待できそう。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2014年3月号から)

★4月2日(水)・東京文化会館(小)
問:アスペン03-5467-0081 
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