歌劇場で学んだことを発揮したい
東京オペラシティの《B→C》に、2011年からフランクフルト歌劇場管弦楽団の首席オーボエ奏者を務めている近藤那々子が登場。自らの魅力を「日替わりランチ」と語る。その心は、「毎回どんな音楽が生みだせるか自分でもワクワクするから」。だからこそ、その日のインスピレーションや会場の空気も大切で、演奏会はお客さんと一緒に作り上げるものだという。曲目はシリーズ名のとおり“B(バッハ)からC(コンテンポラリー)”まで。バッハが、「ヴァイオリン・ソナタ BWV1016」と、しばしばオーボエなどでも演奏される「フルート・ソナタ BWV1031」。19世紀生まれの作曲家からは、R.シュトラウス(歌曲「4つの歌」op.36をオーボエで)とパスクッリにケクラン。20世紀作品は、近藤の師インデアミューレのために書かれたシルヴェストリーニと西村朗の作品を吹く。彼女にとって、現代曲は演奏すると元気になるビタミンCのようなもの。だからこそ聴き手にも「楽しい」と思ってもらえるようにしたいのだという。まさに《B→C》シリーズのコンセプトにふさわしい方向性を持った、頼もしい音楽家だ。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2014年3月号から)
★3月18日(火)・東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
http://www.operacity.jp