エルデーディ弦楽四重奏団のベートーヴェン後期弦楽四重奏曲集第4弾完結篇は第15番。結成30余年のベテラン楽団の集大成といえる。深遠な序奏に続くアレグロは生き生きと進む。第2楽章の対位法的なレントラーも、ミュゼット風で民族舞曲風のトリオも精緻に紡がれる。そして中心楽章「聖なる感謝の歌」がとても美しい。コラールはヴィブラート少なめの清澄な響きで心が洗われるかのよう。典雅に躍動する「新しい力」挿入部を経て、2回目と3回目の「感謝の歌」は、まさに美の極致だ。繊細に声部の絡む天上の歌から深い感銘を受ける。行進曲から雄渾な終曲まで、素晴らしく感動的だ。
文:横原千史
(ぶらあぼ2021年4月号より)
【information】
CD『ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番/エルデーディ弦楽四重奏団』
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番
エルデーディ弦楽四重奏団
【蒲生克郷 花崎淳生(以上ヴァイオリン) 桐山建志(ヴィオラ) 花崎薫(チェロ)】
コジマ録音
ALCD-1205 ¥2800+税