準・メルクル(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

フレッシュな初顔合わせに注目!

 NHK交響楽団や水戸室内管弦楽団との共演によって、たびたび日本で好演を聴かせてくれている準・メルクルが、この3月に新日本フィルの指揮台に立つ。両者の共演はこれが初めて。
 プログラムはフランス音楽を中心とした『サントリーホール・シリーズ』と、ドイツ・オーストリア音楽による『トリフォニー・シリーズ』の2種類。フランス国立リヨン管弦楽団音楽監督、MDR交響楽団(中部ドイツ放送交響楽団)首席指揮者など、フランス、ドイツ両国にわたって実績を残す準・メルクルならではの“名刺代わり”の両プログラムが組まれた。
 『サントリーホール・シリーズ』で演奏されるのは、ストラヴィンスキーの「花火」、ドビュッシーのバレエ音楽「遊戯」、ベルリオーズの「幻想交響曲」。それぞれ斬新な管弦楽法が豊かな色彩を生み出す作品がそろう。準・メルクルの明晰な棒が、精妙な響きを引き出してくれることだろう。
 一方、『トリフォニー・シリーズ』には、シューマンの「ゲーテのファウストのための情景」序曲、シェーンベルクの「浄められた夜」(弦楽合奏版)、ベートーヴェンの交響曲第7番の3曲が並ぶ。シェーンベルクの官能性やベートーヴェンの躍動感を正攻法で存分に表現してくれるのではないだろうか。
 初顔合わせの緊張感はしばしば期待以上の好結果を生むもの。フレッシュな顔合わせに注目が集まる。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2014年3月号から)

第521回 定期演奏会 サントリーホール・シリーズ ★3月6日(木)・サントリーホール
第522回 定期演奏会 トリフォニー・シリーズ ★3月14日(金)、15日(土)・すみだトリフォニーホール 
問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 http://www.njp.or.jp
チケット:Lコード 31822

(c)Jean Baptiste Millot
(c)Jean Baptiste Millot