デンマークから逸材登場
世界で唯一のバッハを専門とする研究機関であるバッハ・アルヒーフ・ライプツィヒとの共同企画により、大作曲家の豊かな音楽性を湛えたオルガン音楽の魅力を掘り下げていく、いずみホールの《バッハ・オルガン作品全曲演奏会》シリーズ。
同シリーズは、全228曲のオルガン作品を、世界が注目する14人のオルガニストがリレー形式で繋いでいくオリジナル企画。ホールに設置されたフランス・ケーニヒ社製のオルガンの美しい響きや礒山雅・同シリーズ芸術監督による分かり易い解説もあって「『トッカータとフーガ』だけにとどまらない、オルガン作品の虜になった」と聴衆からの反響も、回を重ねるごとに大きくなっている。
第3弾には、次代のオルガン界を牽引する奏者で、デンマーク王立音楽アカデミー教授も務めるビーネ・ブリンドルフが登場し、バッハのオルガン芸術を俯瞰する興味深いプログラムを聴かせる。
ブリンドルフは、ブリュージュほか名門コンクールを制し、バロックから現代作品まで弾きこなす逸材。今回は北ドイツ楽派の典型であるパルティータ『喜び迎えん、慈しみ深きイエスよ』や2つのプレリュードとフーガ(BWV541&550)、フランスの影響の色濃い幻想曲「ピエス・ドルグ」やイタリアの香りのするトリオ・ソナタ第5番に、多彩なコラール作品を添えた。シリーズの人選も担当する、バッハ・アルヒーフのクリストフ・ヴォルフ所長は「変化に富む色彩的な曲のすべてが、バッハのオルガン芸術の輪郭を示している」と語る。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2014年2月号から)
★2月14日(金)・大阪/いずみホール Lコード:52683
問:いずみホールチケットセンター06-6944-1188
http://www.izumihall.co.jp