南西ドイツ放送響の首席奏者を務めながら世界中で多彩な活動を続ける清水真弓の、約5年ぶり2枚目のソロ録音。近現代の(主にパリ関連の)オリジナル・トロンボーン作品を集めた充実の一枚だ。定番のマルタン「バラード」やカステレードのソナチネの豊かな表情と高揚感に引き込まれ、デュファイの「バッハ風」では、巧みな曲想の妙と鮮やかな音の運びに魅せられる。清水自身のタップダンス(!)を交えた石川千晶への委嘱作品にも愉しさが横溢。ストヨフスキーの「幻想曲」の歌い回しにも酔わされる。トロンボーン愛好家でなくても全体を通して楽しめる好ディスク!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2021年3月号より)
【information】
SACD『ヴォヤージュ/清水真弓』
セロツキ:トロンボーンとピアノのためのソナチネ/ゴーベル:交響的小品/マルタン:バラード/カステレード:トロンボーンとピアノのためのソナチネ/デュファイ:「バッハ風」、「シューマン風」、「ドビュッシー風」/石川千晶:シュピールロイメ/ストヨフスキー:幻想曲
清水真弓(トロンボーン)
マルコ・ヒルポ(ピアノ)
オクタヴィア・レコード
OVCC-00159 ¥3200+税