“名門一家”の極上サウンド
名門ウィーン・フィル“不動”の首席クラリネット奏者として君臨した父エルンスト・オッテンザマー。父に続いてウィーン・フィル首席を務める長男ダニエル。そして、2011年春にやはり名門ベルリン・フィルの首席に弱冠22歳で就任し話題をさらった次男アンドレアス。音楽の街ウィーンに根差す名家の血脈を受け継ぐ3人が結成したアンサンブル「クラリノッティ」が、音楽の愉しさと奥深さを日本の聴衆に伝えてくれる。
2005年に結成された「クラリノッティ」は、地元ウィーンなどオーストリア国内はもちろん、欧米や日本でもツアーを敢行。名手でなければ成し得ないレパートリーと、親子ならではの息の合った熱演で、聴衆を魅了し続けている。自分たちの特徴について、アンドレアスは「色々な時代や違ったスタイルの音楽に適応する能力を持つのが、クラリネットの美点。特にウィーンには、その奏法と音色に関して、独自の長い伝統がある。温かく広がりのある音色はとても特徴的で、人間の声に近い」と説明する。
今回の来日ステージでは、ピアノの柴田典子が共演。メンデルスゾーンの「2本のクラリネットとピアノのための演奏会用小品」などクラリネットのための作品はもちろん、元はフルート作品のドップラー「リゴレット・ファンタジー」や、ポンキエッリの歌劇「イル・コンヴェーニョ」から名旋律を引用するなどの編曲作品、さらに彼らのために書かれたオリジナル作品まで多彩に披露し、美音と妙技を堪能させてくれる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2014年1月号から)
★2014年2月5日(水)・トッパンホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
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