ヴォルフラム・クリスト(ヴィオラ/ヴィオラ・ダモーレ)×佐藤卓史(ピアノ/フォルテピアノ)

二重奏に新たな伝説が生まれる

 既成概念を覆す時が来た! と言えばいささか大げさか。室内楽、中でもデュオの際のピアノは、単なる伴奏にあらず、時にソロ以上の音楽性を要する。トッパンホールのシリーズ<室内楽マイスターへの道>は、その力をもった若手ピアニストに、名匠との共演の場を提供し、奏者の飛躍と室内楽シーンの活性化を図る好企画。その第2回は、30歳の俊英実力派・佐藤卓史が、ヴィオラの巨人ヴォルフラム・クリストと共演する。佐藤は、ソロ、協奏曲やCD等で実績を重ね、ハノーファーとウィーンで研鑽を積んで2013年帰国。カラヤン、アバド時代のベルリン・フィルで首席奏者を務めた後、多方面で活躍するクリストとは、好タイミングでの邂逅となる。前半がヴィオラ・ダモーレ&フォルテピアノ、後半はヴィオラ&ピアノに分かれたプログラムも興味津々。前半は生演奏が貴重な古楽作品、後半はロマン派以降の王道プロが続き、2人の多様な表現力が示される。温かな音色と繊細な感性をもつ佐藤が、圧倒的パワーと雄弁な音楽で迫るクリストといかなる対話を交わすか? 要注目!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2014年1月号から)

<室内楽マイスターへの道 2>
★2014年1月25日(土)・トッパンホール
問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
http://www.toppanhall.com