新年は華麗なピアニズムで幕開け
情感豊かで華麗な演奏と気品ある佇まい、知的でユーモアにあふれる人柄で人々を魅了し続けている中村紘子が、静岡音楽館AOIのコンサートシリーズに登場。ピアノ音楽の魅力を存分に味わうことのできる、多彩なプログラムを届ける。
当夜は、バッハ=ブゾーニのシャコンヌから始める。そこから続くドビュッシーの「2つのアラベスク」、ショパンの幻想曲で、詩情あふれるロマンティックな音楽を展開する。作品ごとの繊細なニュアンスの変化に、注意深く耳を傾けたい。
そして、やはり楽しみなのはムソルグスキーの「展覧会の絵」。彼女の持ち味であるハリのある音が、鮮やかな色をダイナミックに塗り重ね、聴く者に明確なビジョンをもたらしてくれるだろう。
2014年にデビュー55年目を迎える中村。若手の育成に貢献することで日本のピアノ界を牽引しつつ、自己の芸術の高みを目指し続ける、並々ならぬバイタリティの持ち主だ。彼女の音楽からあふれ出すエネルギーを享受する、贅沢なひとときになりそう。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2014年1月号から)
★2014年1月24日(金)・静岡音楽館AOI
問静岡音楽館AOI 054-251-2200
http://www.aoi.shizuoka-city.or.jp