山本貴志 ピアノリサイタル

ショパンのスペシャリストが贈る特別なステージ

 2005年ショパン国際ピアノコンクール第4位入賞を果たし、「ポーランドの魂(こころ)を伝えるピアニスト」として世界的に注目を集めた山本貴志。美しい音色とショパンの音楽を自然に表現できるピアニストとして国際的に活躍する彼が、同コンクールが開催される今年、ショパンを中心としたプログラムによるリサイタルを開催する。

 2部制で行われ、それぞれ違う曲目が用意されている。13時からの回ではショパンの「舟歌」にマズルカ集(op.59)、「英雄」ポロネーズ、そしてモーツァルトのソナタ(K.284)とベートーヴェンの「月光」ソナタが加わる。17時からの回は2つのノクターン(op.55)と24の前奏曲集というオール・ショパン・プログラムだ。いずれも山本のピアニズムが最大限に発揮される楽曲である。

 なお、今回の会場となるのは、この3月31日をもって惜しくも閉館となる日比谷の松尾ホール。このホールでは、これまで数々の著名演奏家たちがリサイタルを開き、海外アーティストによるマスタークラスも行われるなど、多くの人々に愛されてきた。世界のピアノ音楽の最前線を知る場でもあったこのホールのラスト・コンサートとして開かれる山本のリサイタルは特別なものとなるに違いない。スタインウェイ・ピアノの魅力を最大限に引き出すホールの響きの素晴らしさに触れる最後のチャンスでもあるこの機会、各回の収容人数44名限定となっている。早めに予約しなくては後悔することになるだろう。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2021年2月号より)

2021.3/28(日)13:00 17:00 松尾ホール
問:松尾楽器商会0120-004-331
http://www.h-matsuo.co.jp