自在な感性で互いに共鳴し合う盟友デュオ
水谷川優子と黒田亜樹。それぞれがベルリンとミラノを拠点に、ユニークなスタイルで本場での評価を築いてきた。自分にフィットするものを、時にはジャンルを問わず探すことに貪欲で、対象を見つけるや全身全霊を傾ける姿勢が、国や地域を超えて聴き手の心を打つのだろう。
今回彼女たちが取り組むのはヴィラ=ロボス。ブラジルからフランスに学び、ラテンの感性を印象派風のモダンな書法にドッキングさせた。水谷川と黒田の、国境やジャンルを飛び越える自在な感性が、時を超えて共鳴したのだろう。
10月に発売された新譜『ブラック・スワン』はそんなシンパシーに裏付けられた演奏で、多作家ヴィラ=ロボスの知られざる名作を紹介したが、1月には帰国し収録曲をメインとするリサイタルを開く。大変な中での帰国になるが、彼女たちは越境のプロフェッショナルなのだから安心だ。閉じこもりがちな私たちを南米のステップで誘いだし、モダン・フレンチの芳香に包んでくれることだろう。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2021年1月号より)
2021.1/29(金)19:00 Hakuju Hall
問:オーパス・ワン03-5577-2072
http://opus-one.jp
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