【CD】ソナチネアルバム 第1巻/佐藤卓史

 古典派ソナタへの導入としてピアノ学習者の多くが通るソナチネ第1巻も、佐藤卓史の手にかかると華やかな魅力を放ち、実は優れた小品集だったのだと気づかせてくれる。佐藤がライフワークとするシューベルトはもちろん、クーラウやクレメンティの小さな曲でも、粒が立つようなハリのある音が耳をとらえる。生き生きとした自然な抑揚の演奏で、古典派作品の目指したもの―佐藤自身がライナーで記す「楽器の音だけを使って時間と空間に意味を与える」ことを実現している。聴いて楽しめるだけでなく、子どもの学習者が曲のイメージを広げる刺激としても価値のあるアルバムだ。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2020年12月号より)

【information】
CD『ソナチネアルバム 第1巻/佐藤卓史』

クーラウ:3つのソナチネ/クレメンティ:6つの進歩的なソナチネ/ハイドン:ソナタ ハ長調/ベートーヴェン:2つのやさしいソナタ/ドゥシーク:ソナチネ ト長調/J.S.バッハ:前奏曲 ハ長調/モーツァルト:ロンド ニ長調/シューベルト:即興曲 変ロ長調~主題、スケルツォ 変ロ長調、ソナタ イ長調〜第2楽章 他

佐藤卓史(ピアノ)

ナミ・レコード
WWCC-7932,7933(2枚組) ¥4000+税