昨年9月、10月に行われたザ・シンフォニーホールでのライブ。ブラームス・チクルスの実演を聴き、批評も書いたが、このCDは格別の出来である。尾高の丁寧な造形と彫琢が随所で光っている。交響曲第2番はまず、しなやかな弦の響きが美しい。ホルンや木管が交錯する響きの変化も豊かだ。緩徐楽章のチェロ、舞曲楽章のオーボエやクラリネット、フィナーレの推進力と追込みなど、特筆に値する。第3番は頂点でうねる冒頭楽章、木管のひなびた響きの緩徐楽章、繊細な美が移ろうワルツ、躍動感がはち切れんばかりの終楽章と、実に聴き応えがある。
文:横原千史
(ぶらあぼ2020年11月号より)
【information】
SACD『ブラームス:交響曲第2番&第3番/尾高忠明&大阪フィル』
ブラームス:交響曲第2番・第3番
尾高忠明(指揮)
大阪フィルハーモニー交響楽団
収録:2019年9月&10月、ザ・シンフォニーホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00736 ¥3200+税