夜クラシックVol.27 神尾真由子(ヴァイオリン) ・ 田村 響(ピアノ)

秋の夜に世界的コンクールの覇者競演が実現!


 人気アーティストがトークを交えながら名曲を聴かせる、文京シビックホールの室内楽シリーズ「夜クラシック」。仕事帰りにも至便な19時30分の開演と相まって高い支持を集める当シリーズに、日本屈指のヴァイオリニスト、神尾真由子が登場する。11月の本公演には、当初予定のピアニスト、ミロスラフ・クルティシェフに代わって田村響が出演。2007年のチャイコフスキー国際コンクールと、同年のロン=ティボー国際コンクールの覇者による興味津々のデュオが実現することとなった。

 神尾は、豊麗な音と強靭なテクニックを駆使した濃厚な演奏で世界中を魅了し続けながら、近年そこに深みや味わいを加えている。ゆえに今その表現を改めて耳にしたいところだ。田村も内外で活躍。クリアな音色と深く的確な打鍵で、ナチュラルかつ雄弁な音楽を聴かせている。しかもヴェンゲーロフ、堀米ゆず子、篠崎史紀などヴァイオリニストとの共演経験が豊富。相手を引き立てつつ巧みに自己を表現する彼の共奏も聴きものとなる。

 演目は、ショーソンの「詩曲」、ラヴェルの「ツィガーヌ」、プロコフィエフの「5つのメロディ」とヴァイオリン・ソナタ第2番が並ぶ、コンパクトにして濃密な内容。それぞれ詩的な情趣、民族性や超絶技巧、ロシア的な歌い回しや躍動感とポイントが異なるので、音楽の変化を味わいながら神尾と田村の今を端的に知ることができる。また、当シリーズの冒頭で必ず演奏されるドビュッシー「月の光」の表現も楽しみだ。この名手デュオ、生演奏に気軽に触れたい方もディープなファンも要注目!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2020年11月号より)

2020.11/13(金)19:30 文京シビックホール
問:シビックチケット03-5803-1111 
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